自分が生まれた日のことを、親に聞いて残す 名前の由来と、小さかったころの話
「わたしが生まれた日って、どんな日だった?」。自分の生まれた日のことや名前の由来は、親にしか分からない話です。一つの問いから始める聞き方、父と母で話が違うときの残し方、聞きにくい事情への心づかいまで、親の言葉で「小さかったころの自分」を書き留める手順をまとめました。
自分が生まれた日のことは、親しか知らない
この記事を読むと、自分が生まれた日のことや名前の由来を親に聞いて、親の言葉のまま書き留める手順が分かります。結論から言うと、一度に全部を聞こうとせず、「生まれた日」「名前」「小さかったころ」の三つを、別々の日に一つずつ聞くこと。そして、聞いた話を、親の言葉とあなたの感想を並べて一枚ずつ残すこと。この二つで、自分では覚えていない自分の始まりが、家族で読み返せる記録になります。
自分が生まれた日のことを、本人は覚えていません。その日の天気も、最初に抱いた人のことも、名前が決まったいきさつも、知っているのは親や、そばにいた家族だけです。親が話さなければ、その話は誰にも伝わらないまま終わってしまいます。
この話題は、親にとっても話しやすいものです。「これまでの人生を聞かせて」と頼まれると構えてしまう親も、「わたしが生まれた日って、どんな日だった?」と聞かれれば、その日の様子を思い浮かべながら話し始められます。親にとっても、忘れられない一日だからです。
最初の問いは「その日、どんな天気だった?」くらいでいい
いきなり「生まれたときの話を全部聞かせて」と頼むと、親も何から話せばいいか迷ってしまいます。最初の問いは、答えが一言で済む小さなものにしましょう。「その日、どんな天気だった?」「何時ごろに生まれたの?」「季節はいつだった?」。このくらいの問いなら、親も気軽に答えられます。
答えが返ってきたら、そこから一つだけ問いを足してみてください。「雪の日だった」と聞けば「寒かったでしょう。どうやって病院まで行ったの?」。「夜中だった」と聞けば「そのとき、誰がそばにいたの?」。一つの答えに一つの問いを重ねていくと、その日の様子が少しずつ見えてきます。
聞く場面は、改まった席でなくてもかまいません。誕生日の食事のときや、親から「誕生日おめでとう」の電話があったときは、自然に切り出せる機会です。「そういえば、わたしが生まれた日って、どんな日だった?」と、ついでのように聞くくらいがちょうどよいでしょう。
質問の組み立て方に迷うときは、「親に何を聞けばいいか分からない人へ──質問のつくり方」の記事も参考にしてください。
名前の由来を聞く。込めた願いと、決まるまでのいきさつ
名前の由来は、生まれた日の話と並んで、親にしか答えられない問いです。小学生のころ、授業で調べたことがある人もいるかもしれません。けれど、大人になってから改めて聞くと、子どものころには聞けなかった話が出てくることがあります。
聞くときは、「どういう意味の名前?」だけで終わらせず、決まるまでのいきさつも聞いてみてください。「ほかに候補はあった?」「誰が考えたの?」「最後はどうやって決めたの?」。候補の名前が残っていたり、家族で意見が分かれていたりと、思いがけない話が聞けることがあります。
名前に込めた願いを聞くときは、「どんな人になってほしかった?」と言い換えると、親も答えやすくなります。親の口から出てくる言葉は、短くても、あなたにとって大切な一言になるはずです。聞いた言葉は、できるだけそのまま書き留めておきましょう。
名付けに祖父母や親戚が関わっていた場合は、その人のことも一緒に聞いておくとよいでしょう。名前を通して、あなたの知らない家族の話が出てくることもあります。
小さかったころの自分を、親の言葉で聞く
生まれた日と名前の話が聞けたら、次は、あなたが小さかったころの話です。「わたし、どんな赤ちゃんだった?」「最初にしゃべった言葉は覚えてる?」「よく泣く子だった?」。自分では覚えていないことばかりなので、親の答えを聞くだけで、知らなかった自分に出会えます。
答えにくそうなら、場面をしぼって聞いてみてください。「夜はよく眠った?」「好きだった遊びは?」「初めて歩いた日のこと、覚えてる?」。具体的な場面を一つ示すと、親の記憶もたどりやすくなります。
きょうだいがいる場合、親の記憶の中で、きょうだいの話と混ざっていることもあります。「それ、お兄ちゃんのことじゃない?」と思っても、まずは最後まで聞きましょう。混ざった記憶も、親が子どもたちを育てた日々の記憶の一部です。
小さかったころの写真があれば、一緒に見ながら聞くのもよい方法です。写真に写っている場所や服、そばにいる人から、話が広がることがあります。写真を手がかりに聞く進め方は、「古い写真から、まだ言葉が取れる」の記事でも紹介しています。
父と母で話が違うときは、両方そのまま残す
父と母の両方に聞くと、同じ日のことなのに話が違うことがあります。「朝だった」「いや、昼過ぎだった」。名前を考えたのはどちらか、で意見が分かれることもあるかもしれません。
そんなときは、どちらが正しいかを決めなくてかまいません。「父はこう言い、母はこう言った」と、両方の話をそのまま書き留めておきましょう。同じ一日を、二人がそれぞれどう覚えているか。その違いも、家族の記録として読み返したときの味わいになります。
正確な日時が気になる場合は、母子健康手帳や、出生のときの書類に書かれていることもあります。ただ、記録と記憶が違っていても、親の記憶を書き換える必要はありません。記憶違いのまま残すという考え方は、「『それ、違うと思う』と言いたくなったら──記憶違いのまま残す、という選び方」の記事にまとめています。
聞きにくい事情があるときは、無理に踏み込まない
生まれた日のことは、どの家族にとっても楽しい話とは限りません。そのころ家族が大変な時期だった、親の一人がそばにいられなかった、生まれたときに心配なことがあった。そうした事情があると、親にとっては話しにくい話題になることもあります。
話の途中で親が言葉に詰まったり、話題を変えたりしたら、それ以上は深追いしないでください。「話してくれてありがとう。また気が向いたら聞かせてね」と伝えて、別の話に移れば十分です。話さないことにも、親なりの理由があります。
親の一人がすでに亡くなっている場合や、事情があって親から話を聞けない場合は、そのころを知っている親戚や家族に聞く方法もあります。ただ、誰に何を聞くかは、話しているほうの親の気持ちも考えて決めましょう。迷うときは、「このこと、ほかの人に聞いてもいい?」と、親に確かめてからにすると安心です。
生まれたときの体のことや、その後の経過について、記事やネットの情報で判断したり、親の話を医療の話として解釈したりする必要はありません。気になることがあれば、まずは親に確認し、必要に応じて専門の窓口に相談してください。
聞いた話を一枚にまとめる、書き留め方の形
聞いた話は、話題ごとに一枚にまとめておくと、あとで読み返しやすくなります。形はノートでも、スマホのメモでもかまいません。次の五つの欄を目安にしてみてください。
一つ目は「何の話か」です。「生まれた日」「名前の由来」「初めて歩いた日」のように、短く書きます。二つ目は「話してくれた人」。父か母か、ほかの家族かを書いておきます。三つ目は「どんな様子だったか」で、天気や時間、場所、そばにいた人など、親が語った様子を書きます。四つ目は「親が言った一言」で、ここはできるだけ親の言葉どおりに残します。五つ目が「聞いた日」です。いつ聞いた話かが分かると、あとで読み返すときの手がかりになります。
書き終えたら、いちばん下に、聞いたあなたの感想を一行添えてください。「雪の日に生まれたと、初めて知った」「名前の候補がもう一つあったのが意外だった」。親の記憶とあなたの気持ちが一枚に並ぶと、生まれた日の話が、家族の記録になります。
全部の欄が埋まらなくても大丈夫です。空いた欄は、次に話すときの質問の手がかりになります。書いた一枚を親に読んで聞かせると、「そうそう、それでね」と続きを話してくれることもあります。
Q. 照れくさくて、自分のことを聞きにくいです
大人になってから、自分の生まれた日のことを親に聞くのは、少し照れくさいものです。そんなときは、きっかけを借りてみてください。「子どもの名前を考えていて、参考に聞きたい」「誕生日だから、ふと気になって」。理由が一つあるだけで、切り出しやすくなります。
直接聞くのが難しければ、電話や手紙で一つだけ聞く方法もあります。「今度会ったとき、わたしの名前の由来を教えてね」と前もって伝えておけば、親も思い出す時間がとれます。
Q. 親が「昔のことで、よく覚えていない」と言います
何十年も前のことなので、細かいところを覚えていないのは自然なことです。「覚えていることだけでいいよ」と伝えて、一つでも思い出せたことを書き留めましょう。天気だけ、季節だけでも、十分な記録です。
話しているうちに、少しずつ思い出すこともあります。一度で聞き終えようとせず、「また何か思い出したら教えてね」と伝えておくと、次に会ったとき、親のほうから話してくれることがあります。
Q. 聞いたあと、親に何か返したほうがいいですか
話を聞かせてくれたことへの「ありがとう」を、ひとこと伝えるだけで十分です。聞いた話をまとめた一枚を見せたり、読んで聞かせたりするのも、親にとってうれしい返し方になります。
生まれた日のことを聞いたのをきっかけに、育ててもらったことへの感謝を言葉にしてみる人もいます。感謝の伝え方は、「『育ててくれてありがとう』を、親が元気なうちに渡す」の記事にまとめています。親が育った町の話も聞いてみたくなったら、「親のふるさとの話を聞いて残す」の記事も参考にしてください。
生まれた日の話を、一冊の言葉にまとめるには
聞いた話や、親が口にした一言は、ノートやファイルにまとめておくのも一つの方法です。想い伝(おもいでん)は、いくつかの質問に答えるだけで、あなたが残した言葉を読みやすい一冊の本に整えるサービスです。家族の思い出や親への感謝などを、問いに答えながら書き進められます。本になるのは、あなたが書いた言葉そのものです。
書きかけの内容はお使いの端末に保存され、当社のサーバーには保存されないしくみです。今日は生まれた日の話だけ、次の誕生日に名前の由来を、というように、少しずつ書き足しながら仕上げることができます。
今日、ひとつだけ書いてみてください。「わたしが生まれた日の天気」を一行だけ。分からなければ、それが親に聞く最初の質問になります。その一行から、親の言葉で語られる、小さかったころのあなたが見えてきます。
この記事について
想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。
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