両親のなれそめを聞いて残す 出会いから結婚までを、二人の言葉で書き留める
「お父さんとお母さんって、どうやって出会ったの?」。両親のなれそめは、二人にしか語れない話です。一つの問いから始める聞き方、父と母に別々に聞く工夫、写真や手紙を手がかりにする方法、話しにくい事情への心づかいまで、出会いから結婚までの話を親の言葉で書き留める手順をまとめました。
両親のなれそめは、子どもがいちばん聞きそびれる話
この記事を読むと、両親がどうやって出会い、結婚に至ったのかを聞いて、二人の言葉のまま書き留める手順が分かります。結論から言うと、一度に全部を聞こうとせず、「出会った日」「付き合っていたころ」「結婚を決めたとき」の三つを、別々の機会に一つずつ聞くこと。そして、聞いた話を、親の言葉とあなたの感想を並べて一枚ずつ残すこと。この二つで、あなたが生まれる前の両親の物語が、家族で読み返せる記録になります。
両親のなれそめを、くわしく知っている人は多くありません。子どものころは照れくさくて聞けず、大人になると改めて聞くきっかけがない。そうしているうちに、二人がどこで出会い、何がきっかけで一緒になったのかは、誰にも分からないままになってしまいます。
なれそめは、あなたの家族の始まりの話でもあります。二人が出会わなければ、今の家族はありません。「これまでの人生を聞かせて」と頼まれると構えてしまう親も、「二人はどこで出会ったの?」と聞かれれば、若いころの景色を思い浮かべながら話し始められることがあります。
最初の問いは「どこで出会ったの?」くらいでいい
いきなり「なれそめを全部聞かせて」と頼むと、親も照れてしまい、何から話せばいいか迷います。最初の問いは、答えが一言で済む小さなものにしましょう。「どこで出会ったの?」「そのとき、何歳くらいだった?」「最初に会ったのは、どんな場面?」。このくらいの問いなら、親も気軽に答えられます。
答えが返ってきたら、そこから一つだけ問いを足してみてください。「職場で」と聞けば「どんな仕事をしていたころ?」。「友だちの紹介で」と聞けば「その友だちって、どんな人?」。一つの答えに一つの問いを重ねていくと、出会いの場面が少しずつ見えてきます。
聞く場面は、改まった席でなくてもかまいません。結婚記念日や、親戚の結婚式の帰り道、昔のアルバムを開いたときは、自然に切り出せる機会です。「そういえば、二人ってどうやって知り合ったの?」と、ついでのように聞くくらいがちょうどよいでしょう。
質問の組み立て方に迷うときは、「親に何を聞けばいいか分からない人へ──質問のつくり方」の記事も参考にしてください。
父と母に、別々に聞いてみる
両親がそろっている場合、二人一緒に聞くと、どちらか一方が話し役になり、もう一方は聞き役に回りがちです。照れて「お父さんに聞いて」「お母さんのほうが覚えてる」と譲り合ってしまうこともあります。
そんなときは、父と母に別々の機会に聞いてみてください。同じ出会いの話でも、一人ずつ聞くと、相手の前では言いにくかった本音や、二人のどちらかしか覚えていない場面が出てくることがあります。「最初に会ったとき、どう思った?」という問いは、一人ずつ聞くほうが答えやすい問いの一つです。
一人ずつ聞いた話を、あとで二人に読んで聞かせると、「そんなこと言ってたの?」と、話が広がることもあります。ただ、相手に聞かせたくない話もあるかもしれません。読んで聞かせる前に、「この話、お母さんにも見せていい?」と確かめておくと安心です。
付き合っていたころと、結婚を決めたときを聞く
出会いの話が聞けたら、次は付き合っていたころの話です。「どんなところに出かけた?」「連絡はどうやって取っていた?」「よく行ったお店はある?」。電話や手紙でやりとりしていた時代の話は、今とはまったく違う暮らしの様子が見えて、聞いているほうも楽しくなります。
結婚を決めたときの話も、親にしか答えられない問いです。「どちらから言い出したの?」「家族には、どうやって伝えた?」「式はどこで挙げた?」。結婚式をしなかった家族や、写真だけ撮った家族もあります。どんな形であれ、二人がどう決めたのかを、親の言葉のまま聞いておきましょう。
時代によって、お見合いや紹介での結婚が多かったこともあります。「恋愛結婚じゃないから、話すことはない」と言う親もいますが、お見合いの日の様子や、相手の第一印象には、その人なりの物語があります。「お見合いの日、何を着ていった?」のように、場面を一つ示して聞いてみてください。
写真や手紙を、話の手がかりにする
若いころの写真や、結婚式の写真が残っていれば、一緒に見ながら聞くのもよい方法です。写っている場所や服装、そばにいる人から、「この日は雨で大変だった」「このとき、まだ付き合い始めたばかりで」と、話が広がることがあります。写真を手がかりに聞く進め方は、「古い写真から、まだ言葉が取れる」の記事でも紹介しています。
二人がやりとりした手紙やはがきが残っている家族もあります。ただ、手紙は二人だけのものです。読ませてもらえるかどうかは、親が決めることです。「見せてもらってもいい?」と聞いて、断られたら無理に頼まないでください。読ませてもらえた場合も、書き留めるのは親が「残していい」と言った部分だけにしましょう。
写真や手紙がなくても、話は聞けます。「出会ったころ流行っていた歌は?」「よく聞いていた曲はある?」といった問いから、二人の若いころの景色がよみがえることもあります。
話しにくい事情があるときは、無理に踏み込まない
なれそめの話は、どの家族にとっても楽しい話とは限りません。家族に反対された、別れた時期があった、事情があって今は一緒に暮らしていない。そうした事情があると、親にとっては話しにくい話題になることもあります。
話の途中で親が言葉に詰まったり、話題を変えたりしたら、それ以上は深追いしないでください。「話してくれてありがとう。また気が向いたら聞かせてね」と伝えて、別の話に移れば十分です。話さないことにも、親なりの理由があります。
親の一人がすでに亡くなっている場合や、両親が別々に暮らしている場合は、話してくれるほうの親の気持ちを第一に考えましょう。もう一人の親のことを聞くのがつらそうなら、その人と出会う前の、話してくれる親自身の若いころの話から聞いてもかまいません。親戚や二人を知る人に聞くときも、「このこと、ほかの人に聞いてもいい?」と、親に確かめてからにすると安心です。
聞いた話を一枚にまとめる、書き留め方の形
聞いた話は、場面ごとに一枚にまとめておくと、あとで読み返しやすくなります。形はノートでも、スマホのメモでもかまいません。次の五つの欄を目安にしてみてください。
一つ目は「何の場面か」です。「出会った日」「初めて出かけた日」「結婚を決めたとき」のように、短く書きます。二つ目は「話してくれた人」。父か母か、両方かを書いておきます。三つ目は「いつごろ、どこでの話か」で、年齢や季節、場所など、親が語った様子を書きます。四つ目は「親が言った一言」で、ここはできるだけ親の言葉どおりに残します。五つ目が「聞いた日」です。いつ聞いた話かが分かると、あとで読み返すときの手がかりになります。
書き終えたら、いちばん下に、聞いたあなたの感想を一行添えてください。「父が先に声をかけたと、初めて知った」「母が最初は断るつもりだったのが意外だった」。親の記憶とあなたの気持ちが一枚に並ぶと、なれそめの話が、家族の記録になります。
父と母で話が食い違ったときは、どちらが正しいかを決めなくてかまいません。「父はこう言い、母はこう言った」と、両方の話をそのまま書き留めておきましょう。記憶違いのまま残すという考え方は、「『それ、違うと思う』と言いたくなったら──記憶違いのまま残す、という選び方」の記事にまとめています。
Q. 照れくさくて、親の恋愛の話は聞きにくいです
大人になってから、親のなれそめを聞くのは、少し照れくさいものです。そんなときは、きっかけを借りてみてください。「自分の結婚を考えていて、参考に聞きたい」「結婚記念日だから、ふと気になって」。理由が一つあるだけで、切り出しやすくなります。
直接聞くのが難しければ、電話や手紙で一つだけ聞く方法もあります。「今度会ったとき、二人が出会ったころの話を聞かせてね」と前もって伝えておけば、親も思い出す時間がとれます。
Q. 親が「普通の出会いで、話すほどのことはない」と言います
自分たちのなれそめを、特別な話だと思っていない親は少なくありません。そんなときは、大きな出来事ではなく、小さな場面を聞いてみてください。「最初に話したとき、何の話をした?」「初めて二人で食べたものは?」といった問いのほうが、答えやすいものです。
どんなに普通に思える出会いでも、子どもにとっては、自分の家族が始まった日の話です。「覚えていることだけでいいよ」と伝えて、一つでも聞けたことを書き留めましょう。
Q. 聞いた話を、二人に何か返したほうがいいですか
話を聞かせてくれたことへの「ありがとう」を、ひとこと伝えるだけで十分です。聞いた話をまとめた一枚を見せたり、結婚記念日に読んで聞かせたりするのも、親にとってうれしい返し方になります。
なれそめを聞いたのをきっかけに、両親がお互いに言葉を残したくなることもあります。夫婦のあいだで言葉を残す方法は、「夫婦のあいだで言葉を残す」の記事にまとめています。自分が生まれた日のことも聞いてみたくなったら、「自分が生まれた日のことを、親に聞いて残す」の記事も参考にしてください。
両親のなれそめを、一冊の言葉にまとめるには
聞いた話や、親が口にした一言は、ノートやファイルにまとめておくのも一つの方法です。想い伝(おもいでん)は、いくつかの質問に答えるだけで、あなたが残した言葉を読みやすい一冊の本に整えるサービスです。家族の思い出や親への感謝などを、問いに答えながら書き進められます。本になるのは、あなたが書いた言葉そのものです。
書きかけの内容はお使いの端末に保存され、当社のサーバーには保存されないしくみです。今日は出会った日の話だけ、次の結婚記念日に結婚を決めたときの話を、というように、少しずつ書き足しながら仕上げることができます。
今日、ひとつだけ書いてみてください。「両親が出会った場所」を一行だけ。分からなければ、それが親に聞く最初の質問になります。その一行から、あなたが生まれる前の、二人の物語が見えてきます。
この記事について
想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。
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