親が自分で書けないとき──聞き書きで残す進め方と、本人の同意の取り方
親が自分で書くのが難しいときも、家族が聞き取って代わりに書き残す方法があります。本人が書けなくても残せます。ただし「本人の言葉」であり続けるために、家族が守っておきたい進め方をやさしくまとめました。
本人が書けなくても、残せます
この記事を読むと、本人が自分で書けないときでも、家族が聞き取って言葉を残す「聞き書き」という方法と、そのときに家族が守っておきたい一線が分かります。
手を怪我していたり、入院していて時間が取りにくかったり、長い文章を書くのがおっくうだったり――理由はさまざまですが、「自分で書く」ことが難しい場面は誰にでも起こり得ます。そんなときも、家族が聞き取って代わりに書き記すことで、想いを言葉として残すことはできます。
ただし、聞き書きは「代わりに書く人の言葉」になってしまう危うさもはらんでいます。この記事では、あくまで「本人の言葉」であり続けるために、聞き書きを進めるときに家族が意識しておきたい進め方をご紹介します。
始める前に、本人に伝えて同意を得る
聞き書きを始める前には、必ず本人に「これから話を聞かせてほしい」と伝え、了承を得ることが出発点になります。良かれと思って本人に知らせないまま進めてしまうと、あとになって「知らないうちに自分のことが書かれていた」という気持ちにさせてしまいかねません。
先に伝えて了承を得る形でも、贈り物として内緒で進める形でも、「本人に無断で進めない」という考え方そのものは変わりません。まずは本人に、聞き書きをするということ自体を伝えるところから始めましょう。
本人の言葉として書くなら、確定する前に本人に見てもらう
聞き書きで一番大切にしたいのが、この一線です。本人の言葉として書いた内容は、完成として仕上げてしまう前に、必ず本人に見てもらい、了承を得てから先へ進めるようにしましょう。
聞き取ったことを家族がまとめる過程では、どうしても書き手の解釈や言い回しが入り込みます。本人が見ないまま「本人の言葉」として世に出してしまうと、実際に本人が思っていたこととズレが生じても、誰も気づけないまま残ってしまいます。
章ごとにまとめた内容を本人に見てもらい、「ここまでの内容でよいか」を確認してから次に進む、というひと手間を挟むだけで、聞き書きは「代わりに書いた文章」から「本人が確かめた、本人の言葉」に変わります。
本人が「違う」と言えるようにしておく
本人に見てもらう場を作っても、「せっかく書いてくれたのだから」と本人が遠慮して、直したい点があっても言い出せない、ということが起こりがちです。
「違うところがあれば、遠慮なく直してほしい」と、こちらから先に伝えておくことが大切です。書き手の解釈で上書きしてしまわないよう、本人が「ここは違う」「こう言いたかった」と言い直せる余地を、最初から用意しておきましょう。
書き取りの負担を減らす手段も活用する
話を聞きながら手で書き取っていくのは、想像以上に手間がかかる作業です。本人に「録音させてほしい」と伝えて了承を得たうえで、会話を録音しておき、あとから文字に起こす方法を使うと、聞き取りながらメモを取る負担がぐっと減ります。
その場では会話に集中し、あとから録音を聞き返しながら整理する、という進め方にすると、本人との対話そのものに気持ちを向けやすくなります。
サプライズで贈りたい場合も、同意の線は変えない
本人を驚かせたい、サプライズとして贈りたい、という気持ちも自然なものです。ただし、その場合でも「聞き書きを始めること自体は伝えて了承を得る」「本人の言葉として書いた内容は確定前に見てもらう」という二つの線は変えないようにしましょう。
驚かせたいのは「贈り物として届くという体裁」であって、「本人が知らないところで、本人の言葉が作られてしまうこと」ではないはずです。この違いを意識しておくと、サプライズと本人への敬意を両立させやすくなります。
相続や医療に関わる話題は、専門の窓口へ
聞き書きの中で、相続や財産の分け方、医療やケアに関する希望など、法的な判断が関わる話題が出てくることもあります。そうした事柄は、家族だけで抱え込まず、弁護士・司法書士・税理士や、お住まいの自治体・医療機関の窓口に相談しながら進めることをおすすめします。
本記事は一般的な考え方の紹介です。ご家庭の事情に応じた具体的な判断は、専門の窓口にご相談ください。
想い伝で、聞き書きをかたちにする
聞き書きで集めた言葉は、想い伝(おもいでん)でも一冊の本に整えられます。いくつかの質問に答えていくだけで、聞き取った内容が読みやすい一冊にまとまっていきます。
まずは無料で書き始められ、書きかけはお使いの端末に自動で保存されます。ここでご紹介したように、本人に見てもらい、了承を得ながら、無理のないペースで進めてみてください。
この記事について
想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。
公開日: