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家族の対話約8分

親が見てきた暮らしの移り変わりを、聞いて残す 家の道具、買い物、連絡の取り方の「前と今」を、親の言葉で書き留める

「前は、洗濯ってどうしていたの?」。親が暮らしてきた年月のあいだに、家の道具も、買い物のしかたも、遠くの人との連絡の取り方も、少しずつ変わってきました。その「前」の様子は、親の記憶の中にだけ残っていることがあります。答えやすい問いから始める聞き方、家の道具や買い物、連絡の取り方の聞き方、前と今を並べて聞くこつ、苦労の多かった暮らしへの配慮まで、暮らしの移り変わりを親の言葉で残す手順をまとめました。

「前はこうだった」を知っているのは、そこで暮らしてきた人

この記事を読むと、親が見てきた暮らしの移り変わりを聞いて、親の言葉のまま書き留める手順が分かります。結論から言うと、「昔の暮らしはどうだった?」と大きく聞こうとせず、「前は、洗濯ってどうしていたの?」のように、一つの道具や一つの場面だけを聞くこと。そして、聞いた話を、親の言葉とあなたの感想を並べて、一つの話につき一枚ずつ残すこと。この二つで、親が暮らしの中で見てきた「前と今」が、家族で読み返せる言葉の記録になります。

家の道具や買い物のしかた、遠くの人との連絡の取り方は、親が暮らしてきた年月のあいだに、少しずつ変わってきたはずです。けれど、毎日の暮らしの細かなことは、わざわざ書き残されることがあまりありません。どんな道具で洗濯をしていたか、どこで何を買っていたか、離れた家族とどうやって連絡を取っていたか。そうした話は、聞かれなければ、親の中にしまわれたままになりがちです。

この記事で聞くのは、世の中全体の移り変わりではなく、親の家の中や、親の身の回りで起きた変わり方です。親が子どもだったころの遊びや学校の話を聞きたいときは、「親の子どものころの遊びや学校の話を、聞いて残す」の記事にまとめています。

最初の問いは「前は、洗濯ってどうしていたの?」くらいでいい

最初の問いは、一つの道具や一つの家事にしぼると答えやすくなります。「前は、洗濯ってどうしていたの?」「ごはんは、何で炊いていた?」「冬は、何で部屋を暖めていた?」。このくらいの問いなら、親も、思い出したことをそのまま話せます。

答えが返ってきたら、そこから一つだけ問いを足してみてください。「外の流しで洗っていた」と聞けば「冬は冷たくなかった?」。「ストーブだった」と聞けば「その前で、家族はどう過ごしていた?」。一つの答えに一つの問いを重ねていくと、道具の話から、そのころの家の様子が見えてきます。

聞くきっかけは、ふだんの暮らしの中にあります。家電を買い替えるとき、親がスマホの使い方をたずねてきたとき、テレビで古い町並みが映ったとき。「前は、どうしていたの?」と、ついでのように聞くくらいがちょうどよいでしょう。

家の中の道具を、一つずつ聞いてみる

話が進んできたら、家の中の道具を一つずつ取り上げて聞いてみてください。「家にあった道具で、よく覚えているものはある?」「新しい道具が家に来た日のこと、覚えている?」「テレビや電話は、家のどこに置いてあった?」。道具が家に来た日のことや、置いてあった場所を聞くと、そのころの家の中の景色が浮かんできます。

道具の話は、使っていた人の話にもつながります。「その道具は、誰がいちばん使っていた?」「使い方を教えてくれたのは誰?」と聞くと、家族の役割や、家のことを回していた人の姿が見えてくることがあります。親が子育てをしていたころの毎日のやりくりを聞きたくなったら、「親の子育てのころの話を、聞いて残す」の記事の聞き方も参考になります。

台所の道具や、家でよく作っていた料理の話が出てきたら、それも大切な記録です。料理の作り方と台所の思い出を一緒に残す方法は、「親の料理と『家の味』を、言葉と一緒に残す」の記事にまとめています。

買い物のしかたと、お店とのつきあいを聞く

暮らしの移り変わりは、買い物のしかたにも表れます。「前は、毎日の買い物はどこでしていた?」「よく行ったお店はあった?」「お店の人とは、どんな話をしていた?」と聞いてみてください。

近所のお店に通っていた話や、家まで売りに来てくれた人の話、少し遠くの町まで出かけて買い物をした話。どれも、そのころの親の暮らしと、まわりの人とのつながりを伝える記録です。「そのお店で、よく買っていたものは?」と一つ聞き足すと、話がより具体的になります。

お店の人や近所の人の名前は、家族の中で読む記録なら、親が呼んでいたとおりに書いておけば十分です。ただ、その人の暮らしの細かい事情や、本人が知られたくないかもしれないことは書かないでおきましょう。親が「これは書かないで」と言ったことも、書かずにおきます。

遠くの人との連絡の取り方を聞く

離れて暮らす家族や友だちと、どうやって連絡を取っていたか。これも、親が見てきた移り変わりの一つです。「前は、遠くの人とどうやって連絡を取っていた?」「手紙は、よく書いていた?」「電話をかけるときは、どんなふうにしていた?」と聞いてみてください。

返事が届くのを待っていた手紙の話や、電話口で家族が代わる代わる話した話が出てくるかもしれません。「待っているあいだ、どんな気持ちだった?」と聞くと、連絡の取り方の話から、親が大切にしてきた人とのつながりが見えてくることもあります。

古い手紙やはがきが家に残っているなら、それを手がかりに聞くのもよい方法です。ただ、手紙には、書いた人や受け取った人の気持ちが込められています。読んでよいか、書き留めてよいかは、親に確かめてからにしましょう。

「前と今」を並べて、変わらないことも聞く

道具や買い物の話をひととおり聞いたら、「前と今で、いちばん変わったと思うことは?」と聞いてみてください。親が自分の言葉で「前」と「今」を比べると、そのころの暮らしが、今とのつながりの中で見えてきます。

「今のほうが楽になった」という答えもあれば、「前のほうがよかったこともある」という答えもあるでしょう。どちらの答えでも、よしあしを決めずに、そのまま書き留めておきましょう。親が懐かしそうに話すことも、今の便利さを喜ぶことも、どちらも親の実感です。

「ずっと変わらないことはある?」と聞いてみるのもよいでしょう。毎朝のお茶、季節ごとの片づけ、長く使い続けている道具。暮らしが変わっても続けてきたことには、親が大切にしてきたことが表れている場合があります。

苦労の多かった暮らしの話は、親が話せる分だけでいい

暮らしの移り変わりの話は、どの家族にとっても懐かしい話とは限りません。暮らし向きが苦しかった時期、家族が離ればなれになった時期、思い出したくない出来事。そうした事情がある人もいるでしょう。

この記事の聞き方は、そのころの暮らしのよしあしを確かめるためのものではありません。親が話したがらない時期のことは、無理に聞かなくてかまいません。聞くことが、あなたにとって苦しい場合は、聞かないという選び方もあります。

話の途中で親が言葉に詰まったり、話題を変えたりしたら、それ以上は深追いしないでください。「話してくれてありがとう」と伝えて、別の話に移れば十分です。親が話したいと思ったときに、また聞けばよいのです。

「前は不便だったね」「今は楽でいいね」と、聞き手のほうから決めつけないことも大切です。親にとって、そのころの暮らしは、工夫しながら毎日を過ごしてきた自分の歩みでもあります。「どんな工夫をしていた?」と聞くと、親が自分の言葉で、そのころを話しやすくなります。

一つの話を一枚にまとめる、書き留め方の形

聞いた話は、一つの話題につき一枚にまとめておくと、あとで読み返しやすくなります。形はノートでも、スマホのメモでもかまいません。次の五つの欄を目安にしてみてください。

一つ目は「何の話か」です。「前の洗濯のしかた」「よく通ったお店」のように、短く書きます。二つ目は「いつごろの話か」。「親が子どものころ」「結婚したころ」「あなたが生まれる前」のように、親の暮らしの時期で大まかに書けば十分です。三つ目は「話してくれた人」。父か母か、ほかの家族かを書いておきます。四つ目は「親が言った一言」で、ここはできるだけ親の言葉どおりに残します。「前と今」を比べた言葉が出てきたら、ここに書いておきましょう。五つ目が「聞いた日」です。

書き終えたら、いちばん下に、聞いたあなたの感想を一行添えてください。「洗濯にそれほど手間がかかっていたと初めて知った」「母が、通っていたお店の話をうれしそうにしていた」。親の記憶とあなたの気持ちが一枚に並ぶと、暮らしの移り変わりの話が、家族の記録になります。

全部の欄が埋まらなくても大丈夫です。空いた欄は、次に聞く問いの手がかりになります。

Q. いつごろの話か、親もはっきり覚えていません

暮らしの細かな変わり目がいつのことだったか、親もはっきり覚えていないことはよくあります。年を確かめたり、調べて書き足したりしなくてかまいません。「わたしが小学生のころには、もう家にあった」「引っ越す前の家では」のように、家族の出来事を目印にすれば十分です。

父と母で覚えていることが違ったり、あとになって「あれは違ったかもしれない」と気づいたりすることもあります。そのときも、どちらが正しいかを決めずに、聞いたとおりに残しておく方法があります。考え方は、「『それ、違うと思う』と言いたくなったら──記憶違いのまま残す、という選び方」の記事にまとめています。

Q. 親が「たいして変わっていない」と言います

暮らしの変化は少しずつ起きるので、本人にとっては当たり前になっていることがあります。親が「たいして変わっていない」と言うときは、大きな変化を聞くのをやめて、身近な道具を一つ指して聞いてみてください。「この炊飯器の前は、何を使っていた?」「この電話の前は?」。目の前の物から聞くと、思い出しやすくなることがあります。

それでも話が出てこないときは、無理に続けなくてかまいません。持ち物や場所から話を引き出す聞き方は、「親が『話すことなんて何もない』と言うとき、どう聞く?」の記事にまとめています。

Q. 自分の子どもにも、親の話を聞かせたいです

親の話を、あなたの子ども、つまり親から見た孫にも聞かせたいと思うことがあるかもしれません。孫がふだん使っている道具を見せながら「小さいころは、これの代わりに何を使っていた?」と聞いてもらうと、親も話しやすくなることがあります。

家族で一緒に聞くときは、親が疲れないように、短い時間で区切るのがよいでしょう。孫が聞いた話を、孫の言葉で一行書き添えておくのも一つの方法です。同じ話でも、聞く人によって残る言葉が変わり、家族の記録が少しずつ増えていきます。

暮らしの移り変わりの話を、一冊の言葉にまとめるには

聞いた話や、親が口にした一言は、ノートやファイルにまとめておくのも一つの方法です。想い伝(おもいでん)は、いくつかの質問に答えるだけで、あなたが残した言葉を読みやすい一冊の本に整えるサービスです。家族の思い出や親への感謝などを、問いに答えながら書き進められます。本になるのは、あなたが書いた言葉そのものです。

書きかけの内容はお使いの端末に保存され、当社のサーバーには保存されないしくみです。今日は洗濯の話だけ、次に会ったときに通っていたお店の話を、というように、少しずつ書き足しながら仕上げることができます。

今日、ひとつだけ書いてみてください。「親が前に使っていた道具」の名前を一行だけ。分からなければ、それが親に聞く最初の質問になります。その一行から、あなたの知らなかった、親が暮らしの中で見てきた「前と今」が、家族の言葉として残り始めます。

この記事について

想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。

公開日:

あなたの想いも、一冊の本に

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