親の子どものころの遊びや学校の話を、聞いて残す 好きだった遊び、教室の思い出を、親の言葉で書き留める
「子どものころ、何をして遊んでいたの?」。親にも、毎日遊んで、学校に通っていた子ども時代があります。一つの遊びから始める聞き方、「誰と・どこで・何を使って」で話を広げる工夫、先生や友だちの一言の書き留め方、話しにくい思い出への心づかいまで、親の子ども時代の話を親の言葉で残す手順をまとめました。
子どもだったころの親を、子どもはほとんど知らない
この記事を読むと、親が子どもだったころの遊びや学校の話を聞いて、親の言葉のまま書き留める手順が分かります。結論から言うと、「子どものころはどうだった?」と丸ごと聞こうとせず、「いちばん好きだった遊びは?」のように、遊びや場面を一つだけ選んで聞くこと。そして、聞いた話を、親の言葉とあなたの感想を並べて、一つの遊び、一つの場面につき一枚ずつ残すこと。この二つで、親の子ども時代が、家族で読み返せる言葉の記録になります。
あなたが知っている親は、たいてい、親になってからの姿です。けれど親にも、日が暮れるまで外で遊び、教室で先生に名前を呼ばれ、友だちとけんかをしては仲直りしていた子ども時代があります。その時代の親を見ていた人は、もう多くは残っていないかもしれません。親が話さなければ、誰にも分からないままになります。
遊びや学校の話は、親にとって話し始めやすい題材です。「これまでの人生を聞かせて」と頼まれると構えてしまう親も、「どんな遊びがはやっていた?」と聞かれれば、楽しかった場面を思い浮かべながら答えられます。遊んだ友だちや、通った教室の話から、家族や暮らしの話へと自然に広がっていくこともあります。
最初の問いは「何をして遊んでいた?」くらいでいい
最初の問いは、一言で答えられるものにしましょう。「子どものころ、いちばん好きだった遊びは?」「学校で好きだった科目は?」「休み時間は何をしていた?」。このくらいの問いなら、親も気軽に答えられます。
答えが返ってきたら、そこから一つだけ問いを足してみてください。「鬼ごっこ」と聞けば「鬼になるのは得意だった?」。「図工が好きだった」と聞けば「何を作ったか覚えている?」。一つの答えに一つの問いを重ねていくと、子どもだった親の姿が少しずつ見えてきます。
聞く場面は、改まった席でなくてかまいません。子どもや孫が遊んでいるのを一緒に見ているとき、テレビに学校の場面が映ったとき、近所の小学校の前を通りかかったとき。「そういえば、お父さんは子どものころ」と、ついでのように聞くくらいがちょうどよいでしょう。親の昔の話を聞くときの全体の進め方は、「親の昔話・思い出を聞いて残すには」の記事にもまとめています。
遊びの話は「誰と」「どこで」「何を使って」で広げる
好きだった遊びが一つ出てきたら、「誰と」「どこで」「何を使って」の三つを聞いてみてください。「誰と遊んでいた?」「どこでやっていた?」「道具は自分で作った?」。遊びそのものより、その周りにあった人や物のほうが、思い出を呼び起こすことがあります。
遊びの決まりや、仲間うちだけの呼び方を聞くのも楽しい方法です。「鬼はどうやって決めていた?」「負けたら、どうなるの?」。同じ遊びでも、地域や仲間によって、決まりや呼び名が違うことがあります。親が使っていた呼び方は、そのまま書き留めておきましょう。
遊び道具がいまも家に残っていれば、話の手がかりになります。古いおもちゃ、こま、お手玉、集めていたもの。手に取ってもらうと、遊び方を実際にやって見せてくれる親もいます。遊んでいた場所や町の景色まで聞きたくなったら、「親のふるさとの話を聞いて残す」の記事も参考にしてください。
学校の話は、一日の流れから聞く
学校の話は、「学校はどうだった?」と聞くより、一日の流れに沿って聞くほうが答えやすくなります。「朝は誰と学校に行っていた?」「お昼は給食だった? お弁当だった?」「放課後は何をしていた?」。時間の順に聞いていくと、親もその日の様子を思い浮かべながら話せます。
運動会や遠足、学芸会、修学旅行のような行事も、記憶に残りやすい場面です。「運動会で、何に出た?」「遠足はどこへ行った?」「修学旅行で覚えていることは?」。行事ごとに一つずつ聞いていけば、話が途切れにくくなります。
親によって、通った学校の数や様子はさまざまです。転校を経験した親や、きょうだいの多い家で育った親もいるでしょう。分かる範囲で、「何年生のころの話か」も一緒に聞いておくと、あとで読み返すときに分かりやすくなります。
先生や友だちの名前、言われた一言を書き留める
学校の話の中には、先生や友だちが出てきます。「覚えている先生はいる?」「仲のよかった友だちは、どんな子だった?」と聞いてみてください。名前が出てきたら、分かる範囲で書き留めておきましょう。
先生や友だちに言われて覚えている一言があれば、それは大切な記録です。「先生にほめられて、うれしかった言葉は?」「友だちとけんかしたとき、何と言われた?」。親の口から出てきた言葉は、できるだけ言いまわしを変えずに残しておきましょう。方言や、その時代らしい言い方は、書き直すと、その場の空気が薄れてしまいます。
親の話に出てくる人の中には、いまもつきあいのある人も、連絡が取れなくなった人もいます。親以外の人について書き留めるときは、悪く書くことを避け、親が話してくれた範囲にとどめましょう。
今の子どもの遊びや学校と、比べながら聞く
親の子ども時代とあなたの子ども時代では、遊びも学校の様子も違うところがあるはずです。「いまの子は、こういう遊びをするよ」「わたしのころは、こうだった」と、自分の話もまじえながら聞くと、親も「昔はね」と話を続けやすくなります。
違いだけでなく、同じところが見つかることもあります。同じ遊びをしていた、同じ行事があった、同じようなことで先生に叱られた。親子で共通点を見つけると、話がはずみます。
あなたに子どもがいれば、孫と一緒に聞くのもよい方法です。孫から「おじいちゃんは、どんな遊びをしていたの?」と聞かれると、親もうれしそうに話してくれることがあります。孫が遊び方を教わって一緒にやってみれば、その場面そのものが、家族の思い出になります。
話しにくい子どものころの思い出には、無理に踏み込まない
子どものころの思い出は、楽しいものばかりとは限りません。家の手伝いで遊ぶ時間がなかった、学校に通うのが大変だった、友だちとうまくいかなかった、家の事情で転校をくり返した。どれも、親にとっては、すぐに言葉にできる話ではないかもしれません。
話の途中で親が言葉に詰まったり、話題を変えたりしたら、それ以上は深追いしないでください。「話してくれてありがとう」と伝えて、別の話に移れば十分です。楽しい思い出だけを集める必要も、つらい話を引き出す必要もありません。親が話したいところまでを、そのまま受け取りましょう。
親ときょうだいとで、覚えている子どものころの出来事が違うこともあります。どちらが正しいかを決めずに、それぞれの言葉を並べて残せば、同じ時代をいくつもの目で見た記録になります。記憶の違いとの向き合い方は、「『それ、違うと思う』と言いたくなったら」の記事にまとめています。
一つの遊び、一つの場面を一枚にまとめる、書き留め方の形
聞いた話は、一つの遊び、一つの場面につき一枚にまとめておくと、あとで読み返しやすくなります。形はノートでも、スマホのメモでもかまいません。次の五つの欄を目安にしてみてください。
一つ目は「何の話か」です。「缶けり」「運動会のかけっこ」「三年生のときの担任の先生」のように、親の呼び方をそのまま使います。二つ目は「いつごろの話か」。小学生のころ、何年生のころ、など大まかで十分です。三つ目は「誰と、どこで」。一緒にいた人や場所を書きます。四つ目は「親が言った一言」で、ここはできるだけ親の言葉どおりに残します。先生や友だちに言われた言葉が出てきたら、かぎかっこで囲んでおきましょう。五つ目が「聞いた日」です。
書き終えたら、いちばん下に、聞いたあなたの感想を一行添えてください。「母が、わたしと同じ遊びをしていたと初めて知った」「厳しい父にも、先生に叱られて泣いた日があった」。親の記憶とあなたの気持ちが一枚に並ぶと、子どものころの話が、家族の記録になります。
全部の欄が埋まらなくても大丈夫です。空いた欄は、次に聞く問いの手がかりになります。
Q. 親が「遊んだ記憶なんてない」「手伝いばかりだった」と言います
遊ぶより家の手伝いをしていた時間のほうが長かった、という親もいます。そのときは、手伝いの話をそのまま聞いてみてください。「どんな手伝いをしていた?」「手伝いのあいまに、少しでも楽しかったことはある?」。手伝いの話も、親の子ども時代の大切な一部です。
持ち物や場所から話を聞く進め方は、「親が『話すことなんて何もない』と言うとき、どう聞く?」の記事にまとめています。
Q. 卒業アルバムや通知表が出てきました。見せてもらってもいいですか
卒業アルバムや集合写真は、話の手がかりになります。「この中で、仲のよかった子はどの子?」「この先生は、どんな先生だった?」と聞くと、写真にまつわる思い出が出てくることがあります。写真を手がかりに聞く進め方は、「古い写真から、まだ言葉が取れる」の記事でも紹介しています。
ただ、通知表や作文、日記のように、親が子どものころに書いたものや評価されたものは、人に見せたくない気持ちもあります。「見てもいい?」と聞いて、断られたら無理に頼まないでください。見せてもらえた場合も、書き留めるのは親が「残していい」と言った部分だけにしましょう。
Q. 自分の子どものころの話も、一緒に残したほうがいいですか
親の話を聞いていると、「あなたが小さかったころはね」と、あなた自身の子どものころの話が出てくることがあります。そのときは、そちらの話も一緒に書き留めておくとよいでしょう。親の子ども時代と、あなたの子ども時代が並ぶと、親子二代の記録になります。
あなたが生まれた日や、小さかったころの話を親に聞く進め方は、「自分が生まれた日のことを、親に聞いて残す」の記事にまとめています。
子どものころの話を、一冊の言葉にまとめるには
聞いた話や、親が口にした一言は、ノートやファイルにまとめておくのも一つの方法です。想い伝(おもいでん)は、いくつかの質問に答えるだけで、あなたが残した言葉を読みやすい一冊の本に整えるサービスです。家族の思い出や親への感謝などを、問いに答えながら書き進められます。本になるのは、あなたが書いた言葉そのものです。
書きかけの内容はお使いの端末に保存され、当社のサーバーには保存されないしくみです。今日は好きだった遊びの話だけ、次に会ったときに学校の話を、というように、少しずつ書き足しながら仕上げることができます。
今日、ひとつだけ書いてみてください。「親が子どものころ好きだった遊び」を一行だけ。分からなければ、それが親に聞く最初の質問になります。その一行から、あなたの知らなかった、子どもだったころの親の姿が、家族の言葉として残り始めます。
この記事について
想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。
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