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家族の対話約8分

親の若いころの趣味や好きだったものを、聞いて残す よく聴いた音楽、出かけた場所を、親の言葉で書き留める

「若いころ、休みの日は何をしていた?」。親にも、夢中になって聴いた音楽や、何度も観た映画、休みのたびに出かけた場所があったかもしれません。ふだんの過ごし方から始める聞き方、「いつ・どこで・誰と」で話を広げる工夫、題名が思い出せないときの書き留め方、話しにくい思い出への心づかいまで、親の若いころの楽しみを親の言葉で残す手順をまとめました。

親が若いころに好きだったものを、子どもはあまり知らない

この記事を読むと、親が若いころに好きだった音楽や映画、本、よく出かけた場所の話を聞いて、親の言葉のまま書き留める手順が分かります。結論から言うと、「若いころの趣味は?」と大きく聞こうとせず、「休みの日は、何をしていた?」のように、ふだんの過ごし方を一つだけ聞くこと。そして、聞いた話を、親の言葉とあなたの感想を並べて、一つの好きなもの、一つの場面につき一枚ずつ残すこと。この二つで、親の若いころの楽しみが、家族で読み返せる言葉の記録になります。

あなたが知っている親の好きなものは、たいてい、いまの親が好きなものです。けれど親にも、働きはじめたころや、家族を持つ前に、夢中になって聴いた音楽や、何度も観た映画、くり返し読んだ本、休みのたびに出かけた場所があったかもしれません。そうした話は、聞かれなければ、親の中にしまわれたままになりがちです。

好きだったものの話は、親にとって明るい気持ちで話しやすい題材です。「これまでの人生を聞かせて」と頼まれると構えてしまう親も、「若いころ、よく聴いていた音楽はある?」と聞かれれば、楽しかった時間を思い浮かべながら答えられることがあります。好きだったものの話から、そのころの友だちや暮らしの話へと広がっていくこともあります。子どものころの遊びや学校の話を聞く進め方は、「親の子どものころの遊びや学校の話を、聞いて残す」の記事にまとめています。

最初の問いは「休みの日は何をしていた?」くらいでいい

最初の問いは、一言で答えられるものにしましょう。「若いころ、休みの日は何をしていた?」「よく聴いていた音楽はある?」「夢中になったものはあった?」。このくらいの問いなら、親も気軽に答えられます。

答えが返ってきたら、そこから一つだけ問いを足してみてください。「映画をよく観に行った」と聞けば「誰と行っていたの?」。「本を読むのが好きだった」と聞けば「どこで読んでいた?」。一つの答えに一つの問いを重ねていくと、若いころの親の過ごし方が少しずつ見えてきます。

聞くきっかけは、ふだんの暮らしの中にあります。テレビやラジオから昔の歌が流れてきたとき、親が何かを口ずさんでいるのに気づいたとき、家の棚に古い本やレコードを見つけたとき。「それ、好きだったの?」と、ついでのように聞くくらいがちょうどよいでしょう。親の昔の話を聞くときの全体の進め方は、「親の昔話・思い出を聞いて残すには」の記事にもまとめています。

音楽や映画、本の話は「いつ」「どこで」「誰と」で広げる

好きだった音楽や映画、本の話が出てきたら、「いつ」「どこで」「誰と」の三つを聞いてみてください。「それは何歳くらいのころ?」「どこで聴いていた?」「一緒に観に行った人はいる?」。作品そのものの話より、その周りにあった時間や人の話のほうが、親の暮らしぶりを伝えてくれることがあります。

「どうやって聴いていたか」「どうやって観ていたか」を聞くのも、楽しい方法です。家にあった機械のこと、映画館までの道のり、本を買った店や借りた場所。いまとは違う楽しみ方の話には、そのころの暮らしの様子がそのまま映っています。

「どこが好きだったの?」と聞いてみるのもよいでしょう。好きだった理由には、親の考え方や、大切にしてきたものが表れることがあります。理由がうまく言葉にならなくても、「なんとなく好きだった」という答えで十分です。そのまま書き留めておきましょう。

よく出かけた場所、通った店の話を聞く

若いころの楽しみには、出かけた先の思い出も含まれます。「休みの日によく行った場所は?」「通っていたお店はある?」「遠くまで出かけたことで、覚えているのは?」と聞いてみてください。

場所の話が出てきたら、「そこで何をしていた?」「誰と行っていた?」「どうやって行っていた?」と、一つずつ聞いていきます。いまはもう無い場所や、様子が変わってしまった場所もあるでしょう。親が覚えている景色や、そこで食べたもの、交わした会話を、親の言葉のまま書き留めておきましょう。

出かけた先の話の中に、両親が二人で出かけた思い出が出てくることもあります。二人の出会いや結婚までの話をもっと聞きたくなったら、「両親のなれそめを聞いて残す」の記事も参考にしてください。

続けてきた趣味、やめた趣味、やってみたかったこと

若いころに始めて、いまも続けている趣味があれば、「始めたきっかけは?」「続けてこられたのはなぜ?」と聞いてみてください。長く続けてきたものには、親の暮らしの中で大切にされてきた時間が詰まっています。

途中でやめた趣味の話も、聞いておきたい記録です。「どうしてやめたの?」と聞くと、仕事が忙しくなった、子どもが生まれた、引っ越した、など、親の人生の節目が見えてくることがあります。働いていたころの話につながったら、「親の仕事の話を聞いて残す」の記事の聞き方も役に立ちます。

「本当は、やってみたかったことはある?」と聞いてみるのも一つの方法です。やってみたかったけれどできなかったことには、親の若いころの憧れが表れます。答えたくなさそうなら、無理に聞かずに次の話へ移りましょう。

親の好きだったものに、いま一緒にふれてみる

話を聞くだけでなく、親が好きだった音楽を一緒に聴いたり、好きだった映画を一緒に観たりするのもよい方法です。「これ、どんなときに聴いていた?」「この場面、覚えている?」。一緒にふれていると、話を聞くだけのときには出てこなかった思い出を、親が話してくれることがあります。

あなたの好きなものの話をするのもよいでしょう。「わたしは、こういう音楽をよく聴くよ」「最近、こんな本を読んだ」と話すと、親も「わたしのころはね」と話を続けやすくなります。好きなものが重なっていたと分かることもあります。

あなたに子どもがいれば、孫と一緒に聞くのもよい方法です。孫から「おばあちゃんは、若いころどんな音楽を聴いていたの?」と聞かれると、親もうれしそうに話してくれることがあります。親子三代で同じものを楽しんだ時間は、そのまま家族の思い出になります。

名前が思い出せないこと、話したくないことは、そのままにしておく

話の途中で、歌や映画、本の題名、歌手や俳優の名前が思い出せないこともあります。そのときは、無理に思い出してもらわなくてかまいません。「題名は忘れたけれど、海の出てくる映画」のように、親が覚えている言い方のまま書き留めておけば十分です。

あとで調べて分かったことを書き足すときは、親の言葉とは分けて、「あとで調べたこと」として書いておきましょう。親の記憶と調べたことが違っていても、親の言葉を書き直す必要はありません。両方を並べて残せば、親がそのものをどう覚えていたかが伝わります。

若いころの話は、楽しいものばかりとは限りません。好きなことをする余裕がなかった、家の事情で諦めたことがあった、という親もいます。話の途中で親が言葉に詰まったり、話題を変えたりしたら、それ以上は深追いしないでください。「話してくれてありがとう」と伝えて、別の話に移れば十分です。

一つの好きなもの、一つの場面を一枚にまとめる、書き留め方の形

聞いた話は、一つの好きなもの、一つの場面につき一枚にまとめておくと、あとで読み返しやすくなります。形はノートでも、スマホのメモでもかまいません。次の五つの欄を目安にしてみてください。

一つ目は「何の話か」です。「よく聴いていた歌」「休みの日に通った映画館」「くり返し読んだ本」のように、親の呼び方をそのまま使います。二つ目は「いつごろの話か」。働きはじめたころ、結婚する前、など大まかで十分です。三つ目は「誰と、どこで」。一緒にいた人や場所を書きます。四つ目は「親が言った一言」で、ここはできるだけ親の言葉どおりに残します。好きだった理由が出てきたら、ここに書いておきましょう。五つ目が「聞いた日」です。

書き終えたら、いちばん下に、聞いたあなたの感想を一行添えてください。「父が、休みのたびに一人で映画を観に行っていたと初めて知った」「母の好きだった歌を一緒に聴いてみたら、わたしも好きになった」。親の記憶とあなたの気持ちが一枚に並ぶと、若いころの楽しみの話が、家族の記録になります。

全部の欄が埋まらなくても大丈夫です。空いた欄は、次に聞く問いの手がかりになります。

Q. 親が「趣味なんてなかった」「忙しくてそれどころじゃなかった」と言います

若いころは働くことや家のことで精いっぱいで、趣味と呼べるものはなかった、という親もいます。そのときは、「趣味」という言葉を使わずに聞いてみてください。「仕事が休みの日は、どう過ごしていた?」「ほっとするのは、どんなときだった?」「よく口ずさんでいた歌はある?」。

小さな楽しみも、親の若いころを伝える大切な記録です。仕事帰りに寄った店、ラジオを聴いていた時間、家族で出かけた近所の場所。親が「こんなことでいいの?」と言うような話こそ、そのまま書き留めておきましょう。

Q. 古いレコードや本、映画の半券などが出てきました。どう聞けばいいですか

親が若いころに集めたものや、取っておいたものは、話の手がかりになります。「これ、いつごろ買ったの?」「どこで手に入れた?」「どうして取っておいたの?」と聞くと、そのものにまつわる思い出が出てくることがあります。古い写真が一緒に出てきたら、写真を手がかりに聞く進め方を、「古い写真から、まだ言葉が取れる」の記事で紹介しています。

ただ、古い日記や手紙のように、人に見せるつもりで残したものではないものもあります。「見てもいい?」と聞いて、断られたら無理に頼まないでください。見せてもらえた場合も、書き留めるのは親が「残していい」と言った部分だけにしましょう。片づけの途中で見つかったときは、手放すかどうかを決める前に、一度親に話を聞いてみるのも一つの方法です。

Q. 親の好きだったものを、自分はよく知りません。話についていけるでしょうか

親が好きだった音楽や映画を、あなたが知らなくても大丈夫です。知らないからこそ、「それはどんなもの?」「どういうところがよかったの?」と、素直に聞くことができます。親にとっても、自分の好きだったものを一から話す時間は、楽しいものになることがあります。

話についていこうと、その場で調べたり、詳しい知識を話したりする必要はありません。親の説明を、親の言葉のまま書き留めておきましょう。あとで実際に聴いたり観たりしてみて、次に会ったときに「聴いてみたよ」と伝えれば、それが次の話のきっかけになります。

若いころの好きなものの話を、一冊の言葉にまとめるには

聞いた話や、親が口にした一言は、ノートやファイルにまとめておくのも一つの方法です。想い伝(おもいでん)は、いくつかの質問に答えるだけで、あなたが残した言葉を読みやすい一冊の本に整えるサービスです。家族の思い出や親への感謝などを、問いに答えながら書き進められます。本になるのは、あなたが書いた言葉そのものです。

書きかけの内容はお使いの端末に保存され、当社のサーバーには保存されないしくみです。今日はよく聴いた音楽の話だけ、次に会ったときに出かけた場所の話を、というように、少しずつ書き足しながら仕上げることができます。

今日、ひとつだけ書いてみてください。「親が若いころ好きだったもの」を一行だけ。分からなければ、それが親に聞く最初の質問になります。その一行から、あなたの知らなかった、若いころの親の姿が、家族の言葉として残り始めます。

この記事について

想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。

公開日:

あなたの想いも、一冊の本に

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