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家族の対話約8分

親の子育てのころの話を、聞いて残す 忙しかった毎日、迷ったこと、大切にしてきたことを、親の言葉で書き留める

「わたしを育てていたころ、毎日どんなふうに過ごしていた?」。あなたを育てていたころの親にも、慌ただしい朝や、迷いながら決めたこと、支えてくれた人があったかもしれません。答えやすい問いから始める聞き方、一日の流れや頼った人の聞き方、迷ったことや大切にしてきたことの聞き方、つらい記憶がある人への配慮まで、親の子育てのころの話を親の言葉で残す手順をまとめました。

子育てのころの親を、子どもは子どもの目でしか知らない

この記事を読むと、親が子育てをしていたころの話を聞いて、親の言葉のまま書き留める手順が分かります。結論から言うと、「子育ては大変だった?」と大きく聞こうとせず、「わたしが小学生のころ、朝は何時に起きていた?」のように、一つの時期の一つの場面だけを聞くこと。そして、聞いた話を、親の言葉とあなたの感想を並べて、一つの話につき一枚ずつ残すこと。この二つで、あなたを育てていたころの親の毎日と胸の内が、家族で読み返せる言葉の記録になります。

あなたが覚えている親の姿は、子どもの目から見た親です。朝ごはんを用意してくれた、学校の行事に来てくれた、叱られた。けれど、その裏で親が何に追われ、何に迷い、何を願っていたかは、子どもからは見えにくいものです。そうした話は、聞かれなければ、親の中にしまわれたままになりがちです。

この記事で聞くのは、あなたがどんな子どもだったかではなく、子育てをしていたころの親自身の話です。あなたが生まれた日のことや、小さかったころのあなたの話を聞きたいときは、「自分が生まれた日のことを、親に聞いて残す」の記事にまとめています。

最初の問いは「朝は何時に起きていた?」くらいでいい

最初の問いは、一言で答えられるものにしましょう。「わたしが小さいころ、朝は何時に起きていた?」「仕事と家のこと、どうやって回していたの?」「いちばん忙しかったのは、いつごろ?」。このくらいの問いなら、親も気軽に答えられます。

答えが返ってきたら、そこから一つだけ問いを足してみてください。「暗いうちに起きていた」と聞けば「起きて最初に何をしていた?」。「とにかく忙しかった」と聞けば「どんなことで忙しかった?」。一つの答えに一つの問いを重ねていくと、そのころの親の毎日が少しずつ見えてきます。

聞くきっかけは、ふだんの暮らしの中にあります。子どものころの写真を見ているとき、親戚の子どもの話題が出たとき、あなた自身が子育てをしていて親のことを思い出したとき。「わたしのときは、どうだった?」と、ついでのように聞くくらいがちょうどよいでしょう。

そのころの一日を、朝から夜まで順に聞いてみる

話が進んできたら、そのころの一日を、時間の順に聞いてみてください。「朝起きてから、子どもを送り出すまでは?」「昼間は何をしていた?」「夜、子どもが寝たあとは?」。時間の順に聞くと、親が一日をどう回していたかが、具体的に見えてきます。

働きながら子育てをしていた親なら、仕事と家のことのやりくりの話が出てくるかもしれません。家にいることが多かった親なら、家の中のことを回していた話が出てくるかもしれません。どちらの話も、そのころの親の暮らしを伝える大切な記録です。

「その中で、ほっとできた時間はあった?」と聞いてみるのもよいでしょう。忙しかった話のあとに、楽しみにしていたことや一息つけた時間の話が出てくると、そのころの親の毎日が、より生き生きと残ります。

支えてくれた人、頼った人のことを聞く

子育ては、親一人の力だけで進むものではありません。「わたしを育てていたころ、誰かに手伝ってもらった?」「困ったときに、相談した人はいた?」と聞いてみてください。祖父母や親戚、近所の人、職場の仲間など、親を支えてくれた人の話が出てくることがあります。

祖父母が子育てを手伝っていた場合は、祖父母の話につながることもあります。祖父母のことをもっと聞きたくなったら、「祖父母のことを、親に聞いて残す」の記事の聞き方も参考になります。

支えてくれた人の名前は、家族の中で読む記録なら、親が呼んでいたとおりに書いておけば十分です。ただ、その人の暮らしの細かい事情や、本人が知られたくないかもしれないことは書かないでおきましょう。親が「これは書かないで」と言ったことも、書かずにおきます。

迷ったこと、決めかねたことは、よしあしを決めずに聞く

子育てをしていたころ、親にも迷ったことがあったかもしれません。どこに住むか、どの学校にするか、仕事をどうするか。「わたしのことで、迷ったことはある?」と聞くと、子どもからは見えなかった親の考えが出てくることがあります。

迷った話を聞くときは、その決め方がよかったかどうかを判断しないでください。「なんでそうしたの?」と問い詰める形ではなく、「そのとき、どんなことを考えていた?」と、親の気持ちを聞く形にしましょう。親が答えにくそうなら、無理に聞かずに次の話へ移ってかまいません。

親が「あのときは、ああするしかなかった」と言ったら、その言葉をそのまま書き留めておきましょう。あなたが理由を書き足したり、別の見方を添えたりする必要はありません。親がそのころをどう覚えているかが、そのまま大切な記録になります。

大切にしてきたこと、気をつけていたことを聞く

迷った話と並んで聞いておきたいのが、親が子育てで大切にしてきたことです。「子どもを育てるとき、これだけは、と思っていたことはある?」「いちばん気をつけていたことは?」。答えが短くても、親の口から出てくる言葉は、あなたにとって大切な一言になることがあります。

親がよく口にしていた言葉が、そのまま大切にしてきたことを表している場合もあります。「早く寝なさい」「人には親切に」のような、繰り返し言われた一言を思い出したら、「あれは、どうしていつも言っていたの?」と聞いてみてください。親のふだんの一言を拾って残す方法は、「親の口ぐせや好きな言葉を残したい。どう書き留める?」の記事にまとめています。

うまく言葉にならなくても、「元気でいてくれれば、それでよかった」という答えで十分です。そのまま書き留めておきましょう。

つらい記憶があるときは、聞かないという選び方もある

子育てのころの話は、どの家族にとっても楽しい話とは限りません。家族が大変な時期だった、親がそばにいられないことが多かった、親子のあいだに今も言葉にしにくい思いがある。そうした事情がある人もいるでしょう。

この記事の聞き方は、親の子育てを振り返って、よしあしを確かめるためのものではありません。聞くことが、あなたにとって苦しい場合は、聞かないという選び方もあります。聞くとしても、話しやすいことを一つだけ聞けば十分です。

話の途中で親が言葉に詰まったり、話題を変えたりしたら、それ以上は深追いしないでください。「話してくれてありがとう」と伝えて、別の話に移れば十分です。親が話したいと思ったときに、また聞けばよいのです。

話しているうちに、親が「あのころは、かまってあげられなかった」と、自分を責めるような言葉を口にすることもあります。そのときは、言葉を打ち消したり、何かを約束したりしなくてかまいません。「聞かせてくれてありがとう」と受け止めるだけで十分です。

一つの話を一枚にまとめる、書き留め方の形

聞いた話は、一つの話題につき一枚にまとめておくと、あとで読み返しやすくなります。形はノートでも、スマホのメモでもかまいません。次の五つの欄を目安にしてみてください。

一つ目は「何の話か」です。「わたしが小学生のころの朝」「引っ越しを決めたとき」のように、短く書きます。二つ目は「いつごろの話か」。あなたが何歳くらいのころか、大まかで十分です。三つ目は「話してくれた人」。父か母か、ほかの家族かを書いておきます。四つ目は「親が言った一言」で、ここはできるだけ親の言葉どおりに残します。迷ったことや大切にしてきたことが出てきたら、ここに書いておきましょう。五つ目が「聞いた日」です。

書き終えたら、いちばん下に、聞いたあなたの感想を一行添えてください。「毎朝、暗いうちに起きていたと初めて知った」「母が、近所の人に助けてもらった話をうれしそうにしていた」。親の記憶とあなたの気持ちが一枚に並ぶと、子育てのころの話が、家族の記録になります。

全部の欄が埋まらなくても大丈夫です。空いた欄は、次に聞く問いの手がかりになります。

Q. 父と母で、覚えていることが違います

同じころのことでも、父と母で覚えていることが違う場合があります。「あのころは大変だった」「いや、楽しかった」。どちらが正しいかを決めなくてかまいません。「父はこう言い、母はこう言った」と、両方の話をそのまま書き留めておきましょう。

きょうだいがいる場合は、きょうだいで分担して聞くのも一つの方法です。上の子と下の子では、親が子育てをしていた時期が違うので、同じ親から違う話が出てくることもあります。分担の進め方は、「きょうだいで分担して親の言葉を集める」の記事を参考にしてください。

Q. 自分が子育て中なので、親の話を参考にしたいです

あなた自身が子育てをしていると、親がどうしていたかを聞きたくなることがあります。「夜泣きのとき、どうしていた?」「叱るとき、気をつけていたことはある?」と聞くと、親が自分の経験を話してくれることもあります。

ただ、親の話は、そのころの暮らしの中での親の経験です。今のやり方と違うところがあっても、どちらがよいかを比べなくてかまいません。お子さんの健康や育ち方のことで迷ったときは、親の話だけで決めず、かかりつけの医師や地域の相談窓口など、身近な専門家にも相談してください。親の話は、親の経験の記録として、そのまま書き留めておきましょう。

Q. 聞いているうちに、親にお礼を言いたくなりました

子育てのころの話を聞いていると、親が忙しい中で自分を育ててくれたことに、改めて気づくことがあります。そんなときは、その場で「ありがとう」と一言伝えるだけでも十分です。

言葉にするのが照れくさければ、聞いた話をまとめた一枚を見せたり、手紙に書いて渡したりする方法もあります。感謝の伝え方は、「『育ててくれてありがとう』を、親が元気なうちに渡す」の記事にまとめています。

子育てのころの話を、一冊の言葉にまとめるには

聞いた話や、親が口にした一言は、ノートやファイルにまとめておくのも一つの方法です。想い伝(おもいでん)は、いくつかの質問に答えるだけで、あなたが残した言葉を読みやすい一冊の本に整えるサービスです。家族の思い出や親への感謝などを、問いに答えながら書き進められます。本になるのは、あなたが書いた言葉そのものです。

書きかけの内容はお使いの端末に保存され、当社のサーバーには保存されないしくみです。今日は朝の話だけ、次に会ったときに支えてくれた人の話を、というように、少しずつ書き足しながら仕上げることができます。

今日、ひとつだけ書いてみてください。「わたしが小学生のころ、親は朝何時に起きていたか」を一行だけ。分からなければ、それが親に聞く最初の質問になります。その一行から、あなたの知らなかった、子育てをしていたころの親の毎日が、家族の言葉として残り始めます。

この記事について

想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。

公開日:

あなたの想いも、一冊の本に

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