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家族の対話約8分

親が覚えている世の中の出来事を、聞いて残す ニュースで知った大きな出来事と、そのとき親がどこで何をしていたかを、親の言葉で書き留める

「そのニュース、どこで聞いたの?」。親が生きてきた年月のあいだには、世の中を大きく動かした出来事がいくつもありました。本や記録に残るのは出来事そのものですが、そのとき親がどこにいて、誰と、どんな気持ちで知ったのかは、親の記憶の中にしかありません。知った場面から入る聞き方、その日の暮らしと出来事のあとの変化の聞き方、親の受け止め方を言い争わずに残すこつ、つらい出来事への気づかいまで、世の中の出来事を親の言葉で残す進め方をまとめました。

出来事は記録に残っても、「そのときの親」は残っていない

親が覚えている世の中の出来事を、親の体験として聞き、書き留める。この記事では、その手順を紹介します。押さえたいのは次の二つです。一つ目は、「どんな時代だった?」と広く問わずに、「そのニュースを、どこで知ったの?」と、知った瞬間の場面をたずねること。二つ目は、出来事の説明よりも、そのときの親の居場所と気持ちを中心に、親の言い回しのまま書き残すことです。

大きな出来事の経過は、本や新聞、テレビの特集でたどることができます。けれど、その日の朝に親が何をしていたか、誰の声でその知らせを聞いたか、そのあと家の中にどんな空気が流れたか。そうした一人ひとりの体験は、記録には残りにくいものです。

家の道具や買い物のような、身の回りの暮らしの変化を聞きたいときは「親が見てきた暮らしの移り変わりを、聞いて残す」の記事を、働いてきた日々の話は「親の仕事の話を聞いて残す」の記事を参考にしてください。ここで扱うのは、家の外で起き、世の中の多くの人が同じころに知った出来事です。

最初の一問は「それを、どこで知ったの?」

出来事の中身について尋ねると、親は正確に答えなければと構えてしまうかもしれません。入り口には、親自身のことだけで答えられる問いを選びます。「そのニュースは、どこで知ったの?」「最初に教えてくれたのは誰だった?」「そのころ、いくつくらいだった?」。答えが親の体験の中にある問いなら、間違いを気にせずに話してもらえます。

取り上げる出来事は、親のほうから口にしたものがいちばんです。テレビで昔の映像が流れたときや、記念の日の特集番組を一緒に見ているとき、親が「これ、覚えている」とつぶやいたら、それが合図です。「そのとき、どこにいたの?」と、ひとこと添えるだけで十分です。

あなたが調べて選んだ出来事を、順番に聞いていく必要はありません。年表を持ち出すと、話が試験のようになりがちです。親が覚えていることから一つずつ、を基本にしましょう。

その日の一場面を、まわりの景色ごと聞く

知った場面が分かったら、その日のことを少しだけ広げて聞いてみましょう。「その日は、何をしている途中だった?」「まわりには誰がいた?」「家に帰ってから、家族とどんな話をした?」。教室で先生から聞いた、職場で同僚とラジオを囲んだ、台所で夕飯の支度をしながら耳にした。出来事と一緒に、親のふだんの一日が浮かび上がってきます。

「そのとき、どう思った?」と気持ちを聞くのは、場面の話がひととおり出てからにします。先に景色を思い出してもらうと、気持ちのほうも言葉になりやすくなります。答えが「よく覚えていない」なら、そこで終わりにしてかまいません。

知らせの届き方と、そのころの家の様子を聞く

大きな出来事が、どうやって親のもとまで届いたのか。それ自体が、そのころの暮らしを伝える話になります。「家で見たの? それとも誰かの家で?」「新聞やラジオで知ったの?」「近所の人と、その話をした?」と尋ねてみてください。

みんなで同じ画面を見た、という話が出てきたら、「そのとき、誰がどこに座っていた?」と聞いてみるのも一つです。茶の間の並び順や、隣の家から聞こえてきた声のような細かな景色は、親が話してくれなければ、家族の誰も知らないままになる部分です。

出来事のあと、親の暮らしで変わったことを聞く

世の中の出来事は、知った日で終わるとは限りません。「そのあと、仕事や学校で何か変わった?」「町の様子は、どう違って見えた?」「家で新しく始めたことはある?」と聞くと、出来事が親の毎日にどう届いたのかが見えてきます。

反対に、「うちはいつもどおりだった」という答えが返ってくることもあるでしょう。それも、そのころの親の暮らしを伝える大事な一言です。出来事の大きさと、一人の暮らしへの響き方は、同じとは限りません。聞いたとおりに書いておきましょう。

親の受け止め方は、言い返さずに聞く

出来事によっては、親の受け止め方や考えが、あなたとは違うこともあります。世の中の見方が、あとになって変わった出来事もあるでしょう。そうした話になっても、どちらが正しいかを話し合う場にはしないでください。この記録は、そのときの親がどう感じたかを残すためのものです。

親の考えを書き留めるときは、「〜だと思った、と父は言っていた」のように、誰の言葉なのかが分かる形にしておくと、読み返す家族が取り違えにくくなります。特定の人や団体について強い言葉が出てきたときは、家族の外に見せる記録には写さないほうがよいでしょう。

つらい記憶につながる出来事への気づかい

世の中の出来事の中には、災害や事故のように、親や身近な人がつらい思いをしたものも含まれます。親自身が大変な目にあった、知り合いを亡くした、という場合もあるかもしれません。

そうした出来事は、あなたのほうから話題にしないのが基本です。親が自分から話し始めたときは、問いを重ねずに、うなずきながら聞くだけで十分です。途中で黙り込んだり、表情が曇ったりしたら、「今日はここまでにしようか」と切り上げてください。

書き留めるかどうかも、聞いたあとで親にたずねます。「この話、ノートに書いてもいい?」と聞いて、首を横に振られたら書きません。書かずにおくと決めることも、親の気持ちを大切にする選び方です。

出来事ごとに一枚。書き留める欄の例

記録は、出来事一つにつき一枚にまとめると整理しやすくなります。ノートでもカードでも、スマホのメモでもかまいません。欄の目安は次のとおりです。

最初に「出来事の呼び方」。正式な名前でなくても、親がふだん呼んでいる言い方で書きます。次に「知った場所と、そばにいた人」。「工場の休憩室で、班長さんから」のように短く。三つ目に「そのあと変わったこと」。四つ目は「親の一言」で、言い回しをできるだけ変えずに写します。最後に、聞いた日を書き添えます。

調べて分かったことを書き足したいときは、親の話とは欄を分け、「あとで調べたこと」として、どこで調べたかも一緒に書いておきます。親の記憶と、あとから確かめたことが混ざらないので、読み返す人が迷いません。

欄が全部そろわなくてもかまいません。空いたままの欄は、次に話すときの入り口として残しておきましょう。

Q. 親の覚えている時期や順番が、記録と食い違っています

親が「あれは結婚する前だった」と言った出来事が、調べてみると別の年だった、ということは珍しくありません。その場で正そうとせず、まずは親の言ったとおりに書いておきましょう。

気になるときは、先ほどの「あとで調べたこと」の欄に、確かめた内容を分けて書き添えれば足ります。親の記憶を書き換えずに残す考え方は、「『それ、違うと思う』と言いたくなったら──記憶違いのまま残す、という選び方」の記事にくわしくまとめています。

Q. 「大きな出来事なんて覚えていない」と言われました

誰もが知っている出来事でなくてもかまいません。町に大きな橋がかかった、駅ができた、地元の学校が全国大会に出た。親が暮らしていた土地の中で話題になった出来事も、親にとっては世の中の出来事です。

それでも思い当たらないようなら、今日のニュースから入る方法もあります。「こういうこと、昔もあった?」と聞くと、今と重なる記憶がふと出てくることがあります。話が続かない日は、無理をしないことです。話の糸口の探し方は、「親が『話すことなんて何もない』と言うとき、どう聞く?」の記事も参考になります。

Q. 当時の新聞の切り抜きや写真が残っています

切り抜きや写真が手元にあるなら、それを親と一緒に眺めながら聞くと、話が具体的になります。「これを取っておいたのは、どうして?」と尋ねてみてください。残しておいた理由に、その出来事が親にとってどんな意味を持っていたのかが表れることがあります。

写真を手がかりに聞く方法は「古い写真から、まだ言葉が取れる」の記事に、昔の紙の資料の扱い方は「昔の日記・古い手紙の整理法」の記事にまとめています。古い紙は傷みやすいので、手に取る前に親にひとこと断っておくと安心です。

世の中の出来事と親の記憶を、一冊の言葉にまとめるには

聞いた話や、親が口にした一言は、ノートやファイルにまとめておくのも一つの方法です。想い伝(おもいでん)は、いくつかの質問に答えるだけで、あなたが残した言葉を読みやすい一冊の本に整えるサービスです。家族の思い出や親への感謝などを、問いに答えながら書き進められます。本になるのは、あなたが書いた言葉そのものです。

書きかけの内容はお使いの端末に保存され、当社のサーバーには保存されないしくみです。今日は親が自分から話してくれた出来事を一つ、次はその続きを、と一枚ずつ書き進めて、少しずつ仕上げていくことができます。

まずは、親が「覚えている」と言った出来事の呼び名を、一行だけ書いてみてください。知った場所が分からなければ、それが次に親へ尋ねる一問になります。その一行から、本には載らない、親の目で見た時代の記録が始まります。

この記事について

想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。

公開日:

あなたの想いも、一冊の本に

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