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家族の対話約8分

親が影響を受けた人のことを、聞いて残す 恩師や職場の先輩、手本にしてきた人と、その人からもらった言葉を、親の言葉で書き留める

「若いころ、何かを教えてくれた人はいる?」。親にも、学校で出会った先生や、仕事を教えてくれた先輩、ああなりたいと思った近所の人など、考え方や暮らし方に影響を受けた人がいるかもしれません。けれど、その人のことや、その人から言われた一言は、親の記憶の中にだけ残っていることがあります。答えやすい問いから始める聞き方、教わったことと言われた一言の聞き方、学校・職場・暮らしの場面ごとの聞き方、いまの親に残っているものの聞き方、もう会えない人やほかの人の事情への配慮まで、影響を受けた人の話を親の言葉で残す手順をまとめました。

影響を受けた人の話は、親が大切にしてきた考え方の話でもある

この記事を読むと、親が影響を受けた人のことを親に聞いて、親の言葉のまま書き留める手順が分かります。結論から言うと、「人生でいちばん影響を受けた人は?」と大きく聞こうとせず、「若いころ、仕事を教えてくれた人はいる?」のように、一つの場面と一人の人にしぼって聞くこと。そして、聞いた話を、親の言葉とあなたの感想を並べて、一人の人につき一枚ずつ残すこと。この二つで、親が誰かから受け取ってきたものが、家族で読み返せる言葉の記録になります。

学校で出会った先生、働きはじめたころに仕事を教えてくれた先輩や上司、近所に住んでいた年上の人、習いごとの先生。親にも、考え方や暮らし方に影響を受けた人がいるかもしれません。その人の話をすると、その人から何を教わったか、どんな一言をかけてもらったかといった、親が大切にしてきた考え方の話も一緒に出てくることがあります。

親がふだん口にしている言葉や、仕事や家事のやり方の中には、誰かから受け継いだものが混じっていることがあります。けれど、それが誰から来たものなのかは、親に聞いてみないと分からないことがあります。この記事では、そうした話を親の言葉で聞いて残す方法をまとめます。友だちの話は「親の友だちのことを、聞いて残す」の記事に、仕事そのものの話は「親の仕事の話を聞いて残す」の記事にまとめているので、あわせて読んでみてください。

最初の問いは「何かを教えてくれた人はいる?」くらいでいい

最初の問いは、一つの場面と一人の人にしぼると答えやすくなります。「若いころ、仕事を教えてくれた人はいる?」「学校で、覚えている先生はいる?」「この人みたいになりたい、と思った人はいた?」。「影響を受けた人」という言葉を使わなくても、このくらいの問いなら、親も、思い出した人のことをそのまま話せます。

答えが返ってきたら、そこから一つだけ問いを足してみてください。「最初の職場の先輩」と聞けば「どんな人だった?」。「中学の担任の先生」と聞けば「どんなことを教えてもらったの?」。一つの答えに一つの問いを重ねていくと、その人が親の暮らしの中にいた時間が見えてきます。

聞くきっかけは、ふだんの暮らしの中にあります。親が「昔、こう教わったんだよ」と口にしたとき、仕事や家事のやり方にこだわりを見せたとき、年賀状でなつかしい名前を見かけたとき。「それ、誰に教わったの?」と、ついでのように聞くくらいがちょうどよいでしょう。

出会いと、その人から教わったことを聞く

人の名前が出てきたら、まず出会いのことを聞いてみてください。「いつごろ知り合ったの?」「どこで出会ったの?」「最初はどんな印象だった?」。出会ったときの親の年ごろや、そのころの暮らしが分かると、その人が親にとってどんな時期の人だったのかが見えてきます。

次に、その人から教わったことを聞いてみましょう。「どんなことを教えてもらったの?」「その人のやり方で、まねしたことはある?」。仕事の進め方、人とのつきあい方、時間の使い方。教わったことは、言葉で教わったものだけとは限りません。そばで見ていて、いつのまにか身についたことの話が出てくることもあります。

厳しかった人の話が出てくることもあります。「厳しかったけれど、あのとき言われたことは今も覚えている」。親がそう話したら、厳しかったことも、覚えていることも、親が話したとおりに書き留めておきましょう。聞き手のほうから、その人がどんな人だったかを決めつける必要はありません。

その人に言われた一言を、親の言葉のまま残す

影響を受けた人の話の中で、いちばん残しておきたいのは、その人に言われた一言かもしれません。「その人に言われて、覚えている言葉はある?」「困ったときに、かけてもらった言葉は?」と聞いてみてください。

一言が出てきたら、言い換えずに、親が話したとおりに書き留めましょう。方言や、その人の口ぶりのまま覚えていることもあります。「こう言われたんだよ」という親の言い方ごと残しておくと、あとから読んだときに、親の声が思い出しやすくなります。

親がふだん口にしている言葉が、じつはその人から受け継いだものだった、ということもあります。親の口ぐせや好きな言葉の書き留め方は、「親の口ぐせや好きな言葉を残したい。どう書き留める?」の記事にまとめています。

学校、職場、暮らしの場。場面を一つ選んで聞く

影響を受けた人は、人生のいろいろな場面にいます。一度に全部を聞こうとせず、場面を一つ選んで聞くと話しやすくなります。

学校の場面なら、「覚えている先生はいる?」「部活動で、お世話になった人は?」と聞いてみてください。子どものころの学校の話をもっと聞きたくなったら、「親の子どものころの遊びや学校の話を、聞いて残す」の記事も参考になります。

職場の場面なら、「仕事を教えてくれた人は?」「この人のようになりたいと思った先輩はいた?」。仕事の話を広げる問いは、「親の仕事の話を聞いて残す」の記事にまとめています。家のことや子育てに力を注いできた親なら、「家のことは、誰に教わったの?」と聞いてみるのもよいでしょう。

暮らしの場面なら、近所の人、習いごとの先生、地域の集まりで知り合った人の話が出てくることがあります。友だちとして長くつきあってきた人の話は、「親の友だちのことを、聞いて残す」の記事の聞き方が役に立ちます。

その人から受け取ったものが、いまの親にどう残っているかを聞く

話がひととおり聞けたら、「その人のこと、今でも思い出すことはある?」「その人に教わったことで、今も続けていることはある?」と聞いてみてください。教わったことが、いまの親の考え方や、暮らしの習慣に残っていることがあります。

「あなたにも、同じことを言ったことがあるかもしれないね」。そんな一言が親から出てくることもあります。親が誰かから受け取ったものが、知らないうちに、あなたにも届いていたのかもしれません。そうした話は、親の言葉のまま書き留めておきましょう。

ただ、「その人のおかげで今の自分がある」といったまとめ方を、聞き手のほうから求めなくてかまいません。親が話した分だけを、話したとおりに残しておけば十分です。

もう会えない人、ほかの人の事情への配慮

影響を受けた人の中には、もう亡くなった人や、連絡が途絶えてしまった人もいるでしょう。お礼を言えないまま別れてしまった、という話が出てくることもあります。

話の途中で親が言葉に詰まったり、話題を変えたりしたら、それ以上は深追いしないでください。「話してくれてありがとう」と伝えて、別の話に移れば十分です。親が話したいと思ったときに、また聞けばよいのです。

影響を受けた人は、家族の外にいる人です。その人の暮らしの細かい事情や、本人が知られたくないかもしれないことは、書かずにおきましょう。名前や勤め先などは、家族の中で読む記録にとどめ、書き方に気をつけておくと安心です。書き留めた内容は親に読んでもらって、「これで残していい?」と確かめておきましょう。

一人の人を一枚にまとめる、書き留め方の形

聞いた話は、一人の人につき一枚にまとめておくと、あとで読み返しやすくなります。形はノートでも、スマホのメモでもかまいません。次の五つの欄を目安にしてみてください。

一つ目は「誰の話か」です。「中学の担任の先生」「最初の職場の先輩」のように、親の呼び方をそのまま使います。二つ目は「いつごろ出会ったか」。「十代のころ」「働きはじめたころ」のように、親が話したとおりに書けば十分です。三つ目は「教わったこと」で、仕事のやり方や人とのつきあい方など、親が挙げたことを短く書きます。四つ目は「その人に言われた一言」で、ここはできるだけ親の言葉どおりに残します。「急ぐときほど、ていねいに」のような一言が出てきたら、ここに書いておきましょう。五つ目が「聞いた日」です。

書き終えたら、いちばん下に、聞いたあなたの感想を一行添えてください。「父の『急ぐときほど、ていねいに』が、最初の職場の先輩の言葉だったとは知らなかった」「母が、中学の先生の話をなつかしそうにしていた」。親の言葉とあなたの気持ちが一枚に並ぶと、親が誰かから受け取ってきたものが、家族の記録になります。

全部の欄が埋まらなくても大丈夫です。空いた欄は、次に聞く問いの手がかりになります。

Q. 親が「影響を受けた人なんて、特にいない」と言います

影響を受けた人を聞かれても、すぐには思いつかない親もいます。そのときは、「影響」という言葉を使わずに聞いてみてください。「仕事のやり方は、誰に教わったの?」「この料理の作り方は、誰から習ったの?」「困ったとき、誰に相談していた?」。

やり方や習慣から聞いていくと、それを教えてくれた人の名前が出てくることがあります。話が出てこないときは、無理に続けなくてかまいません。親が「話すことなんて何もない」と言うときの聞き方は、「親が『話すことなんて何もない』と言うとき、どう聞く?」の記事も参考になります。

Q. その人のことを、自分も少し覚えています

親の恩師や先輩が家に来たことがあったり、親に連れられて会ったことがあったりすると、あなたにもその人の記憶が残っていることがあります。そのときは、あなたの覚えていることも、親の話と並べて書いておきましょう。

親とあなたで、覚えていることが違うこともあります。どちらが正しいかを決めなくてかまいません。違いをそのまま残す考え方は、「『それ、違うと思う』と言いたくなったら──記憶違いのまま残す、という選び方」の記事にまとめています。

Q. その人からもらった手紙や、一緒に写った写真が残っています

その人からもらった手紙や年賀状、一緒に写った写真が残っていれば、それを見ながら聞くのも一つの方法です。「この写真は、いつ撮ったの?」「この手紙には、どんなことが書いてあったの?」。手元に残っている物があると、話の手がかりになります。

写真から話を聞く方法は「古い写真から、まだ言葉が取れる」の記事に、手紙の読み返し方と残し方は「昔の日記・古い手紙の整理法」の記事にまとめています。ただ、その人からの手紙は、親とその人のあいだで交わされたものです。「見てもいい?」と聞いて、断られたら無理に頼まないでください。

親が影響を受けた人の話を、一冊の言葉にまとめるには

聞いた話や、親が口にした一言は、ノートやファイルにまとめておくのも一つの方法です。想い伝(おもいでん)は、いくつかの質問に答えるだけで、あなたが残した言葉を読みやすい一冊の本に整えるサービスです。家族の思い出や親への感謝などを、問いに答えながら書き進められます。本になるのは、あなたが書いた言葉そのものです。

書きかけの内容はお使いの端末に保存され、当社のサーバーには保存されないしくみです。今日は学校の先生の話だけ、次に会ったときに職場の先輩の話を、というように、少しずつ書き足しながら仕上げることができます。

今日、ひとつだけ書いてみてください。「親に何かを教えてくれた人」の名前を一行だけ。分からなければ、それが親に聞く最初の質問になります。その一行から、あなたの知らなかった、親が誰かから受け取ってきたものが、家族の言葉として残り始めます。

この記事について

想い伝 編集チーム(株式会社狼煙)。ご家族へ想いを残したい方に向けて、終活や家族の対話にまつわる話題を、やさしい言葉でまとめています。

公開日:

あなたの想いも、一冊の本に

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